2023/09/28 15:04





「みんなの町」という、弊社の商品の中でもかなりレアなおもちゃを1点限りで販売中です。
カツラの木で作られた大ぶりな34個のパーツで構成されたつみきですが、バラバラで見ると何をモチーフにしているのかわかりません。

「みんなの町」というタイトルからなんとなく想像はつくと思いますが.....。





実は「ビル」を作るつみきなんです。
ひとつひとつのパーツに付いている球体が、人の顔を連想させるので、賑やかなビル街のイメージを作ることができるんですね。

これ、かなりすごい発想のデザインだと思います。
玩具として初のグッドデザイン賞をいただいた「汽車つみき」や「動物つみき」などもそうですが、当時の寺内定夫のデザイン力は傑出していたもので、結局その後も父を超えるようなおもちゃデザイナーは現れていないと思います。






運転手が乗っている「クルマ」に見立てることができるパーツもあります。
この球体のおかげで、全体に賑やかな街のイメージが生まれるんです。
もちろん、子どもにとっては大人を軽く凌駕する空想力で、街以外の見立て遊びも生み出していきます。

50年以上前に制作したものですが、おそらく球をつなぐ丸棒部分が壊れやすい(力の加減を知らない幼児だと思いっきりひねったりしてしまう)ので量産はしなかったようです。
制作費がかかり高価になってしまうということもあります。





すでに半世紀ほど経過していますが、ご覧の通り大変美しく古臭さもありません。
次第に色濃くエイジングしていくカツラの木は、最も木のおもちゃに向いた木材だと思いますが、カツラ材のおもちゃはほとんど他メーカーでは作っていないようです。

軽くて加工もしやすく良いとこだらけなのですが、ここ10年くらいは広葉樹全体の枯渇のためもあり、とても入手しづらくなっています。
カツラ材でまたたくさんおもちゃを作ることができるようになるまで、あと数十年はかかるのではないでしょうか。。

子供にはもったいない、とも思える作品なので、木のおもちゃの好きな大人の方におすすめしたいです。
インテリアトイとして、どんな風に飾っても絵になります。
高価な木製玩具としては、やはりヨーロッパのネフ社などが人気ですが、そもそもネフなどのおもちゃを日本に広めたニキティキの創業者の方も、若い時に弊社、寺内定夫デザイン研究所に勉強に来ていたんです。